Prologue
静寂は怒る。
みよ、蒼穹の 怒りを
「爽やかに、暗い。」
美しい日本語は何処へいったのか。
1927年、20代で世を去った八木重吉という詩人が残した言葉は、
極めて短く、私たちの本心を言い当て、
今という時代に生きる私たちが本心を代弁する美しい日本語を
失いつつある事に、ハッとさせられる。
爽やかに、暗く、優しい詩。
ダンサーは、身体を言語にして、私たちに伝える
という点で詩人に近いのかも知れない。
インスピレーションと身体との距離が、
脳で言葉になる前に、動きに変わる。
抽象的だということは説明的ではないということ。
私たちは装飾された言葉よりも直接的に、芸術によって
インスピレーションのかけらを受け取る事が 出来るのだ。
そのかけらは、どんな形でも良い。
あなたが自由に受け取り、持っていても、
朝には忘れていても良い。
それがコンテンポラリーダンスの魅力の一つだから。
八木重吉
詩人
明治31年(1898年)~昭和2年(1927年)享年29。
冒頭の詩「静寂は怒る」は、大正14年(1925年)に刊行された詩集『秋の瞳』に収録された一編。本公演の発起人である大島は、この詩集に大変感銘を受け、「静寂は怒る」をダンスとして表現し上演する。
Program
ソロダンサーから観客一人ひとりへ問いかけられる、
日々のうつろい、循環、社会の変化、未来とは。
ラディカルな視点を持った表現者たちが踊る、 4つの「今」。
福岡のコンテンポラリーダンス界で認知度の⾼い⼤島匡史朗が振付、構成、演出を手がけ、
舞台芸術を愛する多くの⽅々と出会い、観客の身体を駆け抜けるような新作を上演する。
海外で研鑽を積み、今最も実⼒あるダンサー達の感性にご期待ください。
静寂は怒る
せいじゃくはいきどほる
詩人・八木重吉(1898年〜1927年 享年29)の詩「静寂は怒る。みよ、蒼穹の怒りを」(1925年刊行の詩集『秋の瞳』収録)に強い感銘を受け、当たり前にある「循環するもの/しないもの」を浮かび上がらせる。
|出演|⼤島 匡史朗
|作曲|宮本 真理
/上演時間 16分
Vanitas
ヴァニタス
⽣産と消費の「日々のうつろい」を、 ⽇本における⽣産社会から消費社会への移⾏という社会的な流れから感じとった作品。
|出演|福田 沙織
|作曲・アレンジ|マツミシンノスケ
|タイトル考案|太田垣悠
/上演時間 20分
惑星
わくせい
ミヒャエル・エンデの⼩説を演出の軸に、社会の「逃れられない 変化」が舞台に現れる。
|出演| 東福寺 弘奈
|作曲| 宮本 真理
/上演時間 11分
ミルク
みるく
福岡のバレエ界を率いてきた人々を回顧し、 「積み重なるもの」をテーマに、未来へバトンを渡す。
|出演| 平⽥智⾹⼦
|音楽| P.I.チャイコフスキー
/上演時間20分
Story & Message
プロローグ
ごあいさつ
踊りとは何でしょう。身体とは一体。
社会とは。変化とは。私たちとは。私自身とは。
SnC代表 大島は、作品に取り組む時、こういったそもそもの問いからはじめます。
この公演ではそれぞれ/全ての問いに応えるように作品が提起されます。踊りという手段を用いて。
問いから産まれた作品。それらは一つの答えであり、新たな問いでもあり、舞台の上に現れた途端、消えてなくなります。あなたはその一瞬をどう捉えるのでしょう。
この公演を共に作り上げてくれている皆様に感謝を。これからお客様へ届くことで完成される作品たちに希望を。そして、1人でも多くのあなたに、必要であった時間が届くことを願って、SnCは、Solosを開催いたします。
舞台への想い
Solosとは
今回Solosに集められたものは「変化」です。
私が目を向け続けた「変化」の瞬間は、視点を変え、時間を変え、媒体を変え、基準を変え、表現されます。
見慣れたことのように流れていく瞬間もあるかもしれません。
どうか、眺めるように観てください。
舞台で上演される全ての作品は出演者が1人です。
たった1人の身体が、時間の主導権を握ります。1人であるからこその強さと脆さは、そのまま魅力となって立ち現れることでしょう。
なぜ今やるのか
私たちの挑戦
鑑賞することを通して演者に影響されるように、演者も鑑賞されることを通して大きく影響されます。舞台において、“見る/見られる”というのは強烈なコミュニケーションであり、今回の舞台では1対多数という、とても偏ったキャッチボールです。
作られたまま初演を迎えていなかった「Vanitas」や、再演を望まれていた「静寂は怒る」。以前から構想のある新作たち。全てソロで届けられます。偏ったコミュニケーションを成立させることが出来るダンサーのみ、舞台に立ちます。
作品を作る以上、向かう先は、上演することです。時間が、場所が、機会が、ただただ静かにゆっくりと重なったことでこの公演は開催されました。公演日の「今」が最も充実した瞬間となるために、私たちは進み続けています。
伝えたいこと
みなさまへ
受け取ったあとの身体や感情の状態を上手く言葉にできないかもしれません。しかし、それで構いません。作品を鑑賞し終えたということは、その時点で受け取りも終えたということです。
他人のすべてが理解できないことと同じように、作品のすべても理解できないでしょう。そして、分からないということは、時にとても魅力的です。
理解を急ぐことなく、分からない曖昧さを楽しみながら。作品が「問い」から産まれるように、今度はあなたに向けて「問い」かけてみてください。
私は今どう感じたのか。それはいったい何故なのか。
もしかすると、作品を見るということは、そういったことから始まるのかもしれません。
SnC主催 第7回公演 "Solos"
12⽉25⽇(⼟) 14:00開演+トーク 予定枚数終了
12⽉26⽇(⽇) 13:00開演
12⽉26⽇(⽇) 17:00開演
※受付開始各開演45分前・客席開場各開演30分前
※客席開場後、整理番号順にご案内します。
※上演時間:約1時間30分
※各作品の間に転換のための休憩が入ります。
会場:ぽんプラザホール
チケット:⼀般 4,000円 24歳以下3,000円(当日は各500円増)
※24歳以下は当日要年齢確認
※未就学児の入場はご遠慮ください
ご予約方法:
(1)上記ご希望公演日時をクリックすると予約フォームが開きます。
(2)3日以内に入場整理番号の返信をもって予約完了となります。
返信がない場合は、誠にお手数ですが、直接メールアドレス宛にお問い合わせ下さい。snc.solos@gmail.com
(3)チケットはございません。事前予約時の「整理番号」を受付でご提示のうえ、料金をお支払いください。 ご予約なく直接会場にお越しの場合は、お席が埋まっている場合がございますので事前予約をお勧めします。
販売状況や当日券につきましては、HPとSNSで随時お知らせします。
【新型コロナウイルス感染症対策について】
国や自治体の方針、関係団体のガイドラインに沿った開催となります。ご来場時はマスク着用、手指消毒、検温、距離を保った入退場、 連絡先のご提供など感染予防対策にご協力をお願いいたします。
主催:SnC
後援:福岡市、(公財)福岡市文化芸術振興財団
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業